イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で


「日菜ちゃん、クレープ溜まってるよ。アイスが溶けちゃうから早くお客さんに届けてね」


「は、はい!」




みんなとちがって配膳に慣れていないわたしは、お客様に届けるのが滞ってきていた。


人で一杯の席はお客さまを見失いがちだし、途中で話しかけられたりするからその対応に時間がとられてしまう。




「すみませーん、注文いいですかー」




ほら今だって!

配膳が先だけれど、長時間並んでやっと席についた6人連れのお客さま…機嫌悪そうだしオーダーきかないと…。

あー!どっちを優先したらいいの!?




「はーい、ご注文はなんですかぁ??」




とそこへ、急に背の高い女の子が来て注文を聞いてくれた。

6人が早口で言う注文を1回で覚えてメモにすると、




「はい、よろしくー」




わたしに差し出したその子は…




「カ、カンナさん…!?」




黒縁メガネにウィッグをかぶっているけれど、間違いなくカンナさんだ!
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