イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
カンナさんの気持ち
砂浜を走ったところで男の人たちの足には敵わないと思い、人ごみにうまく紛れ込んだところで、わたしたちは出店と出店の間の死角に隠れた。
男の人たちは気づかずに通り過ぎていく。
よかった…。
ほっと胸をなでおろして出ようとしたところで、カンナさんが引き留めた。
「ばかっ。まだそこら辺をうろついているかもしれないでしょ。
あいつらの執念、マジで怖いの知らないでしょっ。
しばらく隠れているのよ」
と吐き捨て、はぁーとため息をついて体育座りをするカンナさん。
「…でも、ま、感謝するわ、ありがと。
正直、あのまま捕まってたらヤバかったわ」
おもしろくなさそうに目を合わせないで言うカンナさんだけれど、さっきの見下すような感じは消えていた。
…ほっと、したのかな。
なんだか、急に同い年の子に見えて、わたしもほっとした。