イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
「あの人たちなんなんですか」
「ストーカーまがいのファンよ。最近うるさくなってきて、事務所からも気を付けるように言われてたんだけどね。
たちの悪い連中よ。こっちの弱みを握ってよからぬことに利用しようって魂胆。
おおかた、わたしが事務所に無断でここに来ていたのを知って、脅そうとするつもりなのね」
ひぇええ怖い…。
ファンでもそういう怖い人がいるんだなぁ…。
「幸い写真は撮ってなかったみたいだし、ま、セーフね。
ほんと、マジ最悪。行き過ぎたヘンタイ野郎よ」
「…でもそれだけカンナさんが人気ってことですよね」
「当然でしょ。
ま、ストーカーの一人や二人いてこそ、いっぱしのタレントってことよ」
と、カラカラ笑うカンナさん。
すごいなぁ。
強いと言うか、たくましいよ。
やっぱり…わたしなんかじゃ、かないっこないよね…。
と、うつむいたわたしを見て、カンナさんは今度は少し力なく笑った。
「って言っても、刺されたりするのは嫌だけどね。
だって、さすがの私にも、後悔していることはあるし」
カンナさんが後悔?