イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
…環奈の告白は衝撃だった。
けど、単純に、想いを寄せられていたことに驚いたわけじゃなかった。
俺は泣きじゃくる環奈の頭を撫でた。
「ごめん環奈…」
驚いたのは、自分で思っていた以上に、環奈の告白に動揺しなかった、ってことだ。
環奈に対してはたしかに特別な想いを持っていた。
好きだったのかもしれない。
けど今の俺には、環奈以上に特別な気持ちを抱くやつがいる。
はっきりとそう断言できるほどに、
好きで好きで、たまらない女がいる。
カンナは顔をゆがませた。
もしかして、俺の気持ちを最初からわかっていたのだろうか。
「俺もおまえのことは特別に思っていたよ。
おまえは大切な幼馴染だった。いつも一緒で何でも話できて、大きな夢も持っていて、戦友みたいな存在だった」
「…」
「最初は『環奈が芸能人になんて』、『どうせすぐ戻ってくる』って高をくくっていた。
でも、おまえはあっという間に登って、夢に向かって行った。
気づいたときにはすっかり遠い存在になっていて、焦った。
…そんな時、日菜が現れたんだ」