イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
「…」


「毎日美味しそうに俺のケーキを食べてくれるあいつに励まされた。
あいつ、甘い物すげー食うんだぜ。
まるで四次元胃袋。みんなから『ファイターちゃん』ってあだ名までつけられてさ。似合わねぇだろ、あんな小さいのに」




フッ、と思わず笑いを噛み殺した。




「クサクサしていた俺を、あいつが支えてくれた。あいつがいたから、今の俺がいるんだ。

俺は日菜が好きだ。

だからごめん。おまえの気持ちには応えられない」




環奈はただ黙って泣いていた。


見るのが辛かった。

でも後悔はしなかった。

むしろ…すっきりしたんだ。

自分の気持ちを口にすることで、すっきりと確信できたから。



決めた。


俺は日菜に告白する。



それがカンナへのせめてもの誠意。

カンナに伝えてもらっておいて、俺がモタモタしているわけにはいかない。




アイメイクがぐしゃぐしゃになるくらい泣き腫らしているのに、声は必死に殺しているところがあいつらしかった。
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