イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
「あの、だ、だって、ここのスイーツって本当にどれも美味しくて大好きなんです…。パフェもワッフルもすっごく美味しい…。なかでもケーキが一番好きで…」
「あらそうなの?うちのはどこにでもあるシンプルなものだし、職人だって修行積んできたとか、どこかの学校に行ったとかじゃない、ホントの素人なんだけれど」
知ってます…。
でも、榊くんのケーキはわたしにとってはすごく特別なんです…。
「シンプルさの中にも、ほっとする何かがあるんです。うまく…言えないんですけれど…どれも他のお店では味わえない美味しさなんです」
「そうなの」
祥子さんは、ひときわうれしそうに微笑んだ。
「作り手が聞いたらよろこぶわ」
その時だった。
店の奥から、誰かがやってきた。