イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
「そんなの、認めないから…!」
カンナは鼻の詰まった声で、ほとんどにらむように潤んだ目を俺に向けた。
「晴友がなんと言おうが、私は認めない…!
あんな子、ちょっと可愛いだけでオドオドしているだけじゃない」
俺は微笑んで「それがそうでもないんだよな」と首を振った。
「ごめん、カンナ。何があっても俺の気持ちは変わらない」
「……」
「おまえは今憧れていた舞台に立っているんだ。おまえはこのままどんどん上に行って、俺ら一般人が簡単に近づけないようなすげー芸能人になってくれよ。
おまえなら、きっとできるよ」
カンナは何も言わず、踵を返して走った。
俺はその背中を最後まで見送らず、店に戻ったのだった。
※
出店の撤収作業は明日で良いことになっていた。
取りあえず、ボス(祥子姉)に結果報告をしにリヴァ―ジに戻ると、姉貴は労いの言葉のそこそこに怪訝な顔をした。
「あれ、日菜ちゃんは?」
日菜?