イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で


「そんなの、認めないから…!」




カンナは鼻の詰まった声で、ほとんどにらむように潤んだ目を俺に向けた。




「晴友がなんと言おうが、私は認めない…!
あんな子、ちょっと可愛いだけでオドオドしているだけじゃない」




俺は微笑んで「それがそうでもないんだよな」と首を振った。




「ごめん、カンナ。何があっても俺の気持ちは変わらない」


「……」


「おまえは今憧れていた舞台に立っているんだ。おまえはこのままどんどん上に行って、俺ら一般人が簡単に近づけないようなすげー芸能人になってくれよ。
おまえなら、きっとできるよ」




カンナは何も言わず、踵を返して走った。


俺はその背中を最後まで見送らず、店に戻ったのだった。










出店の撤収作業は明日で良いことになっていた。


取りあえず、ボス(祥子姉)に結果報告をしにリヴァ―ジに戻ると、姉貴は労いの言葉のそこそこに怪訝な顔をした。




「あれ、日菜ちゃんは?」




日菜?
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