イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
「カンナちゃんもう逃がさないよー」
気味の悪い声を出して、男の人がカンナさんに近づいてくる。
そして、別の人が、わたしの方へ…。
「おまえか。砂投げてくれたのは。可愛い顔してやってくれるな、おい」
「…」
「おまえは俺がかわいがってやるよ」
ど、どうしよう…!
陽も暮れ始めて、辺りは薄暗くなってもっと人目につかなっている。
悲鳴をあげて助けを…!
「きゃっ」
と思った瞬間、わたしとカンナさんは捕まって口をふさがれた。
カンナさんは強引にメガネと髪を引きつかまれる。
長い黒髪が広がって、男の人たちが笑った。
「こんなところで変装してお忍びって、なにか俺たちにナイショのことでもあるわけ?
たとえば…昔の彼氏に会いに来た、とか」
と、男の人がスマホをカンナさんの前に見せた。
勝気なカンナさんの顔が強張った。
「これ、カンナちゃんからキスしてるよねぇ?すっげーショックだったよー。やっぱカレシいたんじゃん」
唖然となるカンナさん。
キス、ってことは、あの時の画像が撮られていたってこと…?