イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
ずっとずっと、好きだった
店内がしん、となった。
誰も信じられないとばかりに、言葉を詰まらせていた。
胸がつぶれそうになった。
誰もそんな顔してくれるとは思ってなかったから。
「あ、そうなんだー」ってくらいしか思わないと思っていたのに。
「そんな…急だよ…!」
「なんだよ、嘘だろ?」
美南ちゃんも拓弥くんも口々に声を荒げた。
「悪いが、これは日菜自身の意志だ」
店内に入ってくるなりそう言い放ったのは、お兄ちゃんだった。
みんなにさらりと自己紹介をすると、晴友くん意外はみんな驚いた顔をする。
わたしの家のことは、祥子さんにも内緒にしていた。
「そういうわけだ。
日菜はうちの将来を担う後継者でもあり、俺のパートナーともなる大切な妹でもある。なので、本格的な場所でしかるべき経験をさせなくてはならない」
お兄ちゃん言葉には、リヴァ―ジをちっぽけな店と蔑むような冷やかさがあった。
祥子さんを始め、みんな不快そうな表情をしている。
けれども、言い返しはしない。
両者の間に立つわたしのことを思っていてくれているからだ…。