イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
「やっぱりそういうことだったのかぁあ日菜ぁああ!!」
「お、お兄ちゃんっ!」
「凌輔さん…っ」
「誰が『凌輔さん』だ!なれなれしく呼ぶな!日菜からはなれろっ!」
「きゃっ」
お兄ちゃんのこぶしが晴友くんの頬に―――入らなかった。
パシッ
とあっけなく晴友くんにつかみ取られてしまったから。
「凌輔さん、俺、こうなったら負けませんから。
日菜は絶対に渡しません」
「な、なにぃ…!いい度胸だ…!」
「お兄ちゃん、ダメだよっ!晴友くんにケンカでかなうわけ」
「誰がケンカだっ。
パティシエとして、だよ。俺は絶対に凌輔さんを超えるパティシエになってみせます」
そこに、騒がしくなった店前の様子に気づいて、みんなが飛び出してきた。
抱きあっているわたしと晴友くんを見て察したのか、みんなニコニコしていた。