イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
「ごめん、ちょっと待ってね」
祥子さんはわたしに手を合わせて業者さんの応対をした。
すこし話をすると、そのまま一緒にお店の奥に消えてしまう。
あれ…。
じわっと変な汗が出るのを感じた。
だって、今の状況って…
わたしと榊くんのふたりきりなんだもん…!
うれしいような…困るような…ど、どうしよう!
榊くんはむすりとした表情を浮かべている。
けれど、立ち去ろうとする素振りはなかった。
こ、これって…チャンス、だよね。
ここでなにかアピールしとかなきゃ…!
って言ってもどうしよう…何を話したらいいのかなぁ…!
「…おまえ、いつも来るやつだよな」
けど、ぽつりと先に話しかけてくれたのは榊くんだった。