イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
ふわっふわの真っ白い泡をそそいで。
こんもり膨らむにつれてただよってくる、甘くやさしいミルクの香り。
うーん、美味しそう…!
ラテをつくっている時ってほんとしあわせな気分になるなぁ。
…って、
いけないいけない、集中。
この最後の行程で、かわいいクマさんになるかどうかが決まるん…
「ブタのラテアートなんて、うちには無いけど?」
ふにゃ。
容赦ない言葉に、つい手がすべった。
チャームポイントの丸耳は見事に歪んでしまって…
ゆっくり溶けて、ツルンとした頭になってしまった。
「あ、ちがった。ブタじゃなくてサル?」
うわぁああ、ひどいっ。
せっかく今日は上手くいく気がしてたのにっ!
涙をこらえながら見あげると、イジワルな声の主が冷やかにわたしを見降ろしていた。