イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で


不思議に思って見つめると、祥子さんははっとして、手を合わせた。




「あ、ごめん…ついいつもの呼び方しちゃった…。悪気はないのよ?
だって、あなたデザートをすーっごいたくさん食べるんだもん。まるでフードファイターみたいだから『ファイターちゃん』ってうちのお店では親しみを込めて呼ばせてもらってたのよ」




えー!

なにその恥ずかしいアダ名っ。ショック!




もしかして、榊くんも呼んでたのかな…。


ってちらっと見ると、




「俺は認めないからな!」




榊君は急にだんっ、とテーブルを叩いて怒鳴った。




「俺はこんなヤツ認めないからなっ」




え…。




「はぁ?なに言ってるのよ晴友っ。久しぶりにあんたや拓弥くん狙いじゃない女の子が来てくれたってのに」


「ただ食い意地はってるだけじゃねぇかっ!たいした変わんねぇだろ!」


「変わります。十分ちがうじゃない。
この子はあんたじゃなくてケーキが好き」




榊くんはうぐっ、とひときわ深いしかめ面を浮かべた。
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