イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
「いい加減迷惑なんだよ。おまえみたいなのの指導係になった俺の身にもなってみろ」
「……」
「もっと向いてんのあるんじゃねぇの?人前に出ない裏方の仕事とかさー。てかバイト自体無理っぽ……って…おい」
がんばってこらえていたけれど。
ついに弾けてしまった。
「……泣くなよな」
「ったく」って、怒ったような困ったような舌打ちが聞こえる。
ごめんなさい…。
と謝ろうとしたけれど、そんな声すら出てこない。
くやしくて、ただ悲しくて。
「ああもういい、休憩いってこいよ」
ぐしゃ、と顔に紙ナプキンを押し当てられた。
「早くいけよ」
ちいさくうなづいて、わたしは逃げるようにお店の奥に向かった。