イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
「それより、5番のドリンク、まだ?」
「えっ…あ…!もうちょっと…」
「デザート、もうあがってんだけど」
「も、もうちょっと待って…」
「は?ブリュレ冷めちまうだろ。ああもういいや、先出すから早く持って来て」
キビキビと歩いて、真っ白なシャツに包まれた広い背中が遠のいていく。
このバイト先の先輩で、わたしの指導係。
榊晴友(さかきはるとも)くん。
うう…
今日もかっこいい後姿だなぁ…って、
みとれる前にドリンクを…!
抹茶ベースにラテ状にしたミルクをそそいで、ソーサーに乗せてトレイへ。
こぼさないように気を付けて運んで…。
5番テーブルにデザートを出し終わった榊くんがくるりと振り返った。
とたんに、形のいい眉がひそめられる。
ぐいっ
と、整った顔が近づいて、
「…おい」
わわ…!
「な…なに…?」