イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で


「それより、5番のドリンク、まだ?」


「えっ…あ…!もうちょっと…」


「デザート、もうあがってんだけど」


「も、もうちょっと待って…」


「は?ブリュレ冷めちまうだろ。ああもういいや、先出すから早く持って来て」




キビキビと歩いて、真っ白なシャツに包まれた広い背中が遠のいていく。


このバイト先の先輩で、わたしの指導係。

榊晴友(さかきはるとも)くん。




うう…
今日もかっこいい後姿だなぁ…って、

みとれる前にドリンクを…!




抹茶ベースにラテ状にしたミルクをそそいで、ソーサーに乗せてトレイへ。
こぼさないように気を付けて運んで…。



5番テーブルにデザートを出し終わった榊くんがくるりと振り返った。

とたんに、形のいい眉がひそめられる。


ぐいっ


と、整った顔が近づいて、




「…おい」




わわ…!




「な…なに…?」
< 4 / 257 >

この作品をシェア

pagetop