イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
おずおず言うと、拓弥くんはうぅーんとうなって両手でガッツポーズをした。
「いいなぁ、日菜ちゃんのかわいい声で『拓弥くん』って!ドキドキしちゃう!
ね、も一回言って?」
「え…?」
「ね、言ってよ、『拓弥』って」
よ、呼び捨てになってますけど…。
って、言い返す余裕もあたえず、拓弥くんの大きな目が近づいて来る。
わわ…!
拓弥くんって、榊くんとちがってやさしくて気さくなんだけれど…ちょっと気さくすぎて困る時があるんだよなぁ…。
思わず仰け反ると、とんとテーブルに両手をつかれて、閉じ込められるような状態になった…。
「あーほんと可愛いよねー日菜ちゃんって。晴友からイジワルされてるのを見るとさー、もーぅ守ってあげたくてしょうがなくなるよー」
「ま、守ってもらうだなんてそんな…。いけないのはドジなわたしの方だし。
…榊くんに怒られないようにもっとがんばらないと…」
「ふふっ。がんばり屋なんだね、日菜ちゃんは!」