イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
「おい立花」
「は、はい!」
「おまえもコイツらに甘えるな。元はおまえがグズなのがいけないんだからな」
「は…はい…」
「日菜ちゃんは甘えてないぞ!おまえがキツ過ぎるんだよ!」
「そうだよ晴友くん。日菜ちゃんは初めてのアルバイトなんだから、もっと大目にみてあげないといけないのに。指導方法にも問題があるんじゃないのかい?」
「第一さー、おまえの教え方って、まるでイヂめてるみたいじゃねぇか」
「そうそう。はたから見てても意図的な悪意を感じるよね」
二人の問い詰めに、怖い顔を貫いていた榊くんの顔が、すこし、ピクリと動いた。
「ち、ちがうよ、ふたりとも…!榊くんはたくさんわたしのフォローしてくれているよ?イヂめなんて…。悪いのはドジばっかりするわたしだよ」
わたしのせいで、榊くんが気不味く思うのは申し訳ない。
すこし重くなった雰囲気を変えたくて、わたしは声を明るくした。