イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で


「へぇー」と拓弥くんと暁さんは顔を見合わせた。


そして、こらえきれないかのようにぷっと噴き出した。




「そんな固いこと言ってごまかしているけどー、本音はもっと別だったりしてーぇ」


「はぁ…!?」


「あれ?晴友くん、ここに置いてあるのはなにかな?」


「…!」




わざとらしい口ぶりで言った暁さんの手には、ケーキが乗ったお皿が…。




「こんなところにケーキ。晴友くん、休憩中にケーキなんて食べるっけ?」


「そ、それは…」


「-――それとも、日菜ちゃんにあげようとしてたとか?」





わたしに…?





思わず榊くんを見つめると、目が合った。

けれども、すかさずそらされてしまう。

その横顔には、ムッと怒ったような表情が浮かんで…。
< 56 / 257 >

この作品をシェア

pagetop