イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で

それまでの余裕ある態度とは一変。

拓弥くんと暁さんは、文字通り震えあがって身を寄せ合った。




「私一人でホール回させるなんていい度胸ね、拓弥ぃ?」




美南ちゃんは右拳を左手の平にパシパシぶつけながら拓弥くんの前に仁王立ちした。




「な、な、なんだよ、晴友だってサボってるだろー」


「晴友はスタートから休憩なしだったからいいの!あんたなんてパフェ注文した女の子とおしゃべりしていただけじゃない!」


「トークサービスだって仕事の内だ!」


「問答無用!」


「痛っ!」




と、顔面に掌底をもらう拓弥くん。

美南ちゃんは雑誌モデルをやってそうなくらい、お洒落で美人でスタイルのいい女の子だけど、空手有段者という一面も持っている。

しっかりしていて面倒見がいいから、祥子さんからの信頼も厚くて、ホールではリーダー的な存在。

特に幼馴染の拓弥くんには、『しつけ』と称して一際キビしい。
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