イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
それは十分わかっています…。
榊くんはきちんと指導してくれて、フォローもしてくれるもの。
悪いのは…
「でも、これはやるよ」
不意に、うつむいた先の視界に、小さな抹茶ロールが入ってきた。
これは…
さっき暁さんに聞かれていた榊くんが持ってきたケーキ…?
「…別におまえのために作ったわけじゃないからな。今月の新作だから、毒見させてやろうと思っただけだ。おまえ、好きなんだろ、俺のケーキ」
榊くん…。
試食ならこの時間じゃなくてもできたのに…。
もしかして…
本音では『悪かった』って思ってくれていたのかな…。
「って言っても、すっかりエサはもらってたみたいだな」
と、榊くんはほとんど食べ終わっていたパフェとワッフルを横目に見た。
う…どっちもおいしくてペロリと食べてしまったんだった…。