イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で


「腹いっぱいならケーキは食わなくていい。捨てろ」


「捨てる…!?」




榊くんのケーキを…榊くんがわたしのためにもってきてくれたケーキを、粗末になんて絶対にできない…!




「だいじょうぶだよ!甘いものはいくらでも入るから!」


「…無理すんな……って、おまえの胃袋って甘いものには四次元空間なんだっけ…」


「うん!特に榊くんのは!」




と言うなり、ぱくりとほおばった。




「ううううん」




抹茶クリームのまろやかでやさしい甘さ…!

しっとりとしたスポンジのほのかに香ばしい風味は…黒豆粉が練りこまれているのかな?和風テイストで大人な味っ。

すっごく美味しいよぉ~!ほっぺたが落ちちゃいそう…!



両手で頬を包んで余韻にひたっていると、ぱち、と榊くんと目が合った。

はっとなって、榊くんは眉間にしわを寄せている。

ちょっと顔が赤い…。


いけない…!

食いしん坊丸出しで感動している場合じゃない。ちゃんと感想を…。
< 63 / 257 >

この作品をシェア

pagetop