イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で


「おまえの指導係は俺なんだからな。
…だから、おまえを餌付けしていいのも俺だけだ。わかったか、グズ」


「へづけなんて…ペットじゃはいよぉ」



「…ペットだと思って接しなきゃ、やってらんねぇんだよ」




榊くんは頬から手を離すと、椅子から立ち上がった背を向けた。




「…もう戻るの?」


「店混む時間だからな」


「じゃわたしも…!」


「おまえは残り食ってろ。ドジが戻ったところで足手まといだからな。
…ちゃんと全部食えよ」




と言い捨て休憩室から出て行こうとしたところで、榊くんは背を向けたままぴたりと止まった。



「…あとおまえ、拓弥と暁兄のこといつから名前呼びにしてんの」


「え?」


「俺も名前で呼べ。コミュニケーションが大切なのに俺だけよそよそしいのはなんかムカつく」


「は、はい…」


「わかったか。……日菜」


「……」




…名前で、呼ばれた…。
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