イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
きゅうと胸が苦しくなってうつむく。名前で、呼ばれちゃった…!!
ドキドキする胸を押さえて、いつも見惚れてしまう広い背中にそっと呼びかけた。
「はい…晴友くん…」
榊…晴友くんは返事することなく出て行った。
顔、ちょっと赤くなっていた…?
へん、なの…。
名前呼びされるのが、恥ずかしかったのかな。
それなのに連携がスムーズにいくように呼ばせるなんて…やっぱり仕事に一生懸命なんだな。
わたしもがんばらないと…。
でも…
胸がくすぐったい…。
だって好きな人を名前呼びできるなんて思わなかったから。
仕事のためだけど、
『ちょっと前進』
って思っても、いいよね…。
「晴友くん…」
そっと
ちいさな声で、そっと繰り返した。
こころよいその響きは、ケーキみたいに甘く、胸をとろけさせた…。