イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
「日菜ちゃん、おつー!」
「きゃっ」
そこへ、日菜に後ろから女が抱きついてきた。
俺らと同じホールの、瀬川美南(せがわみなみ)だ。
美南は俺や拓弥と同学年。
まぁ気が強くてぎゃーぎゃーうるさくて、なにかにつけ俺に難癖をつけてくる。
特に日菜が来てからは、日菜が大のお気に入りになったらしくて、俺の指導が冷たいだの意地悪だの、先輩面して言いたいことを言ってくる。
「こーらー晴友っ」
「なんだよ」
「あんた、今日こそは日菜ちゃんにやさしくしなさいよっ。
ほんといつまでたってもイジワルな先輩なんだから」
「はぁ?
るせぇな。俺がどう指導しようが勝手だろ」
「あーまたそんなこと言ってぇ。
しょーこさぁん!晴友ったら今日も日菜ちゃんにイジワルするつもりなんですよーっ」
どうしてまたそこで姉貴に告げ口するんだっ。
美南のバカでかい声を聞いた早々キッチンから出てきたのは、俺の姉貴の祥子姉だ。
美南以上にうるさくて、おまけに怒らせるとめちゃくちゃ怖ぇ店のボスだ。