イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
「晴友。あんたまだ日菜ちゃんにやさしくしてあげてないの!?私がキッチンに引っ込んでいるのをいいことに、あんたって子はほんとにもう、いつまでもイジメっ子なんだから」
「誰がイジメっ子だ」
そりゃ中学まではケンカ三昧で迷惑かけたけど…。
「今はもうケーキ作り一筋だぞ」
「ケーキ作りだけ達者になってもねー。ホールに出ている以上は後輩の指導もキチンとしてもらわないと。なにせうちは味だけじゃなくサービスも売りなんですからね」
姉貴は数年前に身体を悪くして休養している親父に代わってこの店を経営していた。
古臭いカフェを、流行のスイーツやドリンクを取り入れて雑誌にしょっちゅう紹介されるくらいの人気店に生まれ変わらせた手腕は認めるが、なにせ口うるさくて、めちゃくちゃ気が強い。
姉貴といい美南といい、店の女たちはうるさくて面倒くさい。
その点でいうと、日菜はちがった。