イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
正直言うと、俺の胸は高鳴った。
店にバイトに来るやつは…自慢するわけじゃないか、十中八九、俺か拓弥が目当てだ。
俺らに気があって、一緒に働いて、あわよくばカップルになりたい、って下心丸出しで来る。
日菜が客としてきたとき、いつも話するのは俺だったから、(てか俺がいつもサービスとか接客してたから)、
だから勘ちがいしちまったんだ。
こいつはもしかして、俺のことが好きなんじゃねーかって。
そう勘ちがいしてしまったために、この後、死ぬほどダセぇ気分を味わった。
『おまえさ、どうしてここでバイトしたいって思ったわけ?』
思わず俺はあいつの細い手首をつかんでしまった。
『俺の…なんだよ…?』
だって、正直ずっと前から気になってはいたから。
実際、見かけはすげー可愛い。
小さな身体は小動物みたいだし、白い肌につやつやの黒髪と大きな目がきれいで、清楚な感じがした。
派手に着飾ってキャーキャー騒ぐやつらとくらべると地味で目立たなかったけれど。