イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
見返してやれっ!
「日菜ちゃん」
立ち尽くしてもうなんにも考えられなくなっているところに、暁さんが話し掛けてきてくれた。
「どうしたの。そんなに青い顔して。また晴友くんにイヂワルされたの?」
さすがこれは…イヂワルだよね…。
わたしは小さくうなづいた。
「実は、今日のテレビ紹介に出ることになったんです」
「え?今日は晴友くんが出るって祥子さんから聞いてたけど」
瞬時に察したのか、暁さんは「あちゃー」と苦笑いを浮かべた。
「わたし…絶対失敗すると思うんです…。もうどうすればいいのか不安で」
「さすがにやりすぎだなぁ、晴友くん…」
「店に泥をぬったらクビだ、って…。わたし、まだまだここで働きたいです…」
「そんなことまで言ったのアイツ?また心にもないことを…」
「?」
「いやいや、独り言。
ま、大丈夫だよ、日菜ちゃん。そんなこと絶対にあり得ないし、結局怒られるのは晴友くんだから。
でも、このままだと、あんまりくやしくないかい?」
「え…」
「こうなれば、アイツを見返してやろうよ」