イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
そうか…そうだよね。
きっとみんな初めてのころは失敗ばかりで落ち込んだりもしたけど、一生懸命がんばってできるようになったんだよね。
わたしもがんばらなくちゃ…ね。
そうしたら…すこしは晴友くんも見直してくれるかもしれない…。
わたしのこと、嫌わないでくれるかもしれない…。
「ありがとうございます、暁さん。わたし、やってみますね」
ぎこちないけど、精一杯の笑顔をつくると、暁さんはぽん、と頭を撫でてくれた。
「うん、可愛い笑顔が戻った。
よし、早速練習始めようか。今は客も少ないから、仕事の片手間に付き合ってあげられるし」
「わぁ…ありがとうございます…!暁さんが手伝ってくれるならとっても心強いです」
「じゃあまずは、これに着替えてこようか」
「え?もうですか?」
「そうそう。本番さながらの状況で臨むためにも、ね」
ウインクを投げられ、わたしは押し切られるように制服と一緒に更衣室に押し込まれた。