イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
「つまりは『がんばれよ』ってことですもんね。指導係からの厳しい叱咤なんです。
だから、言いつけどおり一生懸命がんばります」
「日菜ちゃん…」
ぽんぽんとわたしの頭を撫でて、暁さんは微笑んでくれた。
「よし、じゃあ今から宣伝練習をしよう」
「え、キッチンは…?」
「もういいやそんなの。マンツーマンだ。晴友くんに全部やらせとけ。ディナーまで時間がある。今時間の軽食ならあいつも作れるから」
そうして、練習が始まった。
取材は1時間後だった。
※
「うん、だいぶはっきり大きい声でしゃべれるようになってきた」
「ほんとですか?」
「ばっちりばっちり、それに笑顔もばつぐんに可愛いよ」
スタッフさんから頼まれて考えた紹介のセリフもすっかり覚えて、準備万端。
びっちり練習してもらうこと、1時間。
やっと暁さんからオーケーが出た。
ただし、暁さんとふたりきりの今は、だけど…。