イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で


「つまりは『がんばれよ』ってことですもんね。指導係からの厳しい叱咤なんです。
だから、言いつけどおり一生懸命がんばります」


「日菜ちゃん…」




ぽんぽんとわたしの頭を撫でて、暁さんは微笑んでくれた。




「よし、じゃあ今から宣伝練習をしよう」


「え、キッチンは…?」


「もういいやそんなの。マンツーマンだ。晴友くんに全部やらせとけ。ディナーまで時間がある。今時間の軽食ならあいつも作れるから」




そうして、練習が始まった。


取材は1時間後だった。













「うん、だいぶはっきり大きい声でしゃべれるようになってきた」


「ほんとですか?」


「ばっちりばっちり、それに笑顔もばつぐんに可愛いよ」




スタッフさんから頼まれて考えた紹介のセリフもすっかり覚えて、準備万端。

びっちり練習してもらうこと、1時間。
やっと暁さんからオーケーが出た。

ただし、暁さんとふたりきりの今は、だけど…。
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