イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
「本番もこの調子でできるといいんですけれど…」
「大丈夫だよ。テレビに出るって言ったって、生放送じゃなくて収録なんだから。失敗したって、何度でもやりなおせる。
それに、今日来る人たちは、みんな気が良くてやさしいよ。
取材する前に、うちの店のファンでもあるし」
そうなんだ…。
それがせめてもの救いかな…。
でも、ああ、緊張するよ…。
こんな責任のあることを、わたしがやるなんて…。
さっきの晴友くんのわたしを見つめる冷ややかな目が思い出して、暁さんとの練習で忘れていた重い気持ちがよみがえってくる。
「どうしたの、日菜ちゃん」
「晴友くんは…きっとわたしのことが嫌いなんですね…」
「え?」
「もし暁さんがいなかったら、なんにもできなくて途方にくれていました。…そんなこと、晴友くんだって想像できたはずなのに…。
晴友くんは、どうしてもわたしをやめさせたいんですね。そうまでしたいほど、わたしのことが嫌いなんだな、って…」
「ふーん…」