夏の終わりの失恋歌(恋愛中毒1)
……いわれて見れば、ヒコってモテるかもしれない。
ライブの時だって、ひときわワーキャー言われている気がしなくもない。
「ウーロン茶でも、買ってく?」
「ポカリがいい。やっぱり頭痛いもん」
「あのね、いい加減自分でアルコール量調節してくれない?」
「……次回より善処させていただきます……」
途中寄ったコンビニで話をしながら、彩華はそんなことを考えていた。
初めて行った伸彦の部屋は、黒とシルバーで統一されて、綺麗に片付いていた。
学生には広めの2DK。
それはもう、端の方までびしっと整えられた感じで。
奥の部屋にはベッドが置いてあって、パソコンが載った机もある。
キーボードをはじめとした楽器も揃えておいてあった。
手前の部屋にはコタツサイズのテーブルと、大きな本棚があった。
勧められるがままあがりこんで、ペットボトルのままポカリを飲んだ。
ちなみに、伸彦は丁寧にウーロン茶をボトルからコップに入替えて飲んでいる。
……もしかしなくても、ヒコって潔癖症?
また、怒られそうなので口に出しては聞かなかった。
「なんで、彼女作らない主義なの?」
「面倒だから」
「面倒って!」
身も蓋もない返答に、彩華は仰け反る。
「実際、面倒でしょ?」
電源を切ったままの彩華のケータイをテーブルにおいて、伸彦が言う。
「でも、淋しいじゃん」
「別に」
……そうでした。ヒコの周りには人が寄ってくるんだった。
「私は淋しいなー。彼氏のいない二十歳の誕生日なんて」
「いつ?」
「来週」
「彼氏代わりくらいなら、なってやってもいいけど」
……
…………
………………
は?
彩華は耳を疑って、しばらく言葉も出なかった。
ライブの時だって、ひときわワーキャー言われている気がしなくもない。
「ウーロン茶でも、買ってく?」
「ポカリがいい。やっぱり頭痛いもん」
「あのね、いい加減自分でアルコール量調節してくれない?」
「……次回より善処させていただきます……」
途中寄ったコンビニで話をしながら、彩華はそんなことを考えていた。
初めて行った伸彦の部屋は、黒とシルバーで統一されて、綺麗に片付いていた。
学生には広めの2DK。
それはもう、端の方までびしっと整えられた感じで。
奥の部屋にはベッドが置いてあって、パソコンが載った机もある。
キーボードをはじめとした楽器も揃えておいてあった。
手前の部屋にはコタツサイズのテーブルと、大きな本棚があった。
勧められるがままあがりこんで、ペットボトルのままポカリを飲んだ。
ちなみに、伸彦は丁寧にウーロン茶をボトルからコップに入替えて飲んでいる。
……もしかしなくても、ヒコって潔癖症?
また、怒られそうなので口に出しては聞かなかった。
「なんで、彼女作らない主義なの?」
「面倒だから」
「面倒って!」
身も蓋もない返答に、彩華は仰け反る。
「実際、面倒でしょ?」
電源を切ったままの彩華のケータイをテーブルにおいて、伸彦が言う。
「でも、淋しいじゃん」
「別に」
……そうでした。ヒコの周りには人が寄ってくるんだった。
「私は淋しいなー。彼氏のいない二十歳の誕生日なんて」
「いつ?」
「来週」
「彼氏代わりくらいなら、なってやってもいいけど」
……
…………
………………
は?
彩華は耳を疑って、しばらく言葉も出なかった。