夏の終わりの失恋歌(恋愛中毒1)
「残念、今日からバイトなんだ」
伸彦はさして残念そうでもなく言った。
「そっか〜。残念っ」
彩華はがっかり肩を落とす。
「折角休みの間に練習して、ヒコに勝てる予定だったのにー。
じゃあ、エイジ誘ってみようっと♪」
同じバンドのメンバーの名前をさらりと出す。
もう、気持ちはそちらに移っているようで、機材を載せた車が丁度入ってきたこともあり、彩華は伸彦そっちのけで外へと飛び出していた。
皆でわいわいがやがやと機材を運んで組み立てる。
ドラムセットをつくり、アンプを置き、スピーカーを調整する。
メンバーが全員揃っているから、という理由で、彩華のバンドのほうから先に練習することになった。
彩華は自分のキーボードを抱えて前に置く。
彼女以外は全員男性。
皆大学になってバンドをはじめたものばかり。
2年目になってようやくまとまりを見せ始めたものの、格段に上手いメンバーというわけではない。
とはいえ、オリジナル曲を演奏できるくらいまでには成長していた。
正直、中学時代から音楽をやっていた伸彦にしてみれば、レベルが低すぎてみてられない。
とはいえ、ひと夏でそれぞれが練習してきたことは伺えた。
なんとなく、その場で彼らの演奏を眺めていた。
「彩ちゃん、コーラス入れてみてよ」
唐突にボーカルの大地が言う。
彩華は手を伸ばして目の前のマイクにスイッチを入れた。
そこで初めて彼女は自分の歌声を披露する。
伸彦は、あまりの衝撃に煙草を落としそうになった。
どうして、最初からメインボーカルを希望しなかったのか。
疑問を持ちたくなるほど、それはもう言葉にできないくらい、彼女の歌は上手かった。
伸彦はさして残念そうでもなく言った。
「そっか〜。残念っ」
彩華はがっかり肩を落とす。
「折角休みの間に練習して、ヒコに勝てる予定だったのにー。
じゃあ、エイジ誘ってみようっと♪」
同じバンドのメンバーの名前をさらりと出す。
もう、気持ちはそちらに移っているようで、機材を載せた車が丁度入ってきたこともあり、彩華は伸彦そっちのけで外へと飛び出していた。
皆でわいわいがやがやと機材を運んで組み立てる。
ドラムセットをつくり、アンプを置き、スピーカーを調整する。
メンバーが全員揃っているから、という理由で、彩華のバンドのほうから先に練習することになった。
彩華は自分のキーボードを抱えて前に置く。
彼女以外は全員男性。
皆大学になってバンドをはじめたものばかり。
2年目になってようやくまとまりを見せ始めたものの、格段に上手いメンバーというわけではない。
とはいえ、オリジナル曲を演奏できるくらいまでには成長していた。
正直、中学時代から音楽をやっていた伸彦にしてみれば、レベルが低すぎてみてられない。
とはいえ、ひと夏でそれぞれが練習してきたことは伺えた。
なんとなく、その場で彼らの演奏を眺めていた。
「彩ちゃん、コーラス入れてみてよ」
唐突にボーカルの大地が言う。
彩華は手を伸ばして目の前のマイクにスイッチを入れた。
そこで初めて彼女は自分の歌声を披露する。
伸彦は、あまりの衝撃に煙草を落としそうになった。
どうして、最初からメインボーカルを希望しなかったのか。
疑問を持ちたくなるほど、それはもう言葉にできないくらい、彼女の歌は上手かった。