夏の終わりの失恋歌(恋愛中毒1)
「彩ちゃん」

前ばかり見ていた彩華は後ろから声をかけられて、びくっとした。
友人たちの視線も一気にそこに向く。

「ああ、ヒコ」

「ちょっと良い?」

彩華は頷くと友人たちにまたねと言って立ち上がる。
「お前、隙ありすぎ」

呆れ口調で伸彦が言う。

「なんで?」

「俺と目があっても無視したろ」

「まさかっ。
ていうか、私そういうの鈍いんだから、ヒコの方から声掛けてよ」

「だから声掛けにきただろ?」


苛立つ伸彦とのいつも通りぐだくだした会話を彩華は
「で、ご用件は?」
と遮った。

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