夏の終わりの失恋歌(恋愛中毒1)
「もう、帰るけどどうする?」

「頭痛が引いたらかえるー!」

皆が帰っていくのを夢見心地で見送った。

時刻はもうすぐ夜の11時。

帰ろうかなと、思ったそのとき。
店のドアが開いて、彩華は見てしまった。


崇城明と、可愛い女性が楽しそうに笑いながらこの店に入ってくるところを。
分かりやすく、手なんてつないで。

二人見つめあって、こちらに気付く風もない。
まぁ、確かに店内は暗いし彩華の居る場所は死角でもあるんだけれど。




すぅっと、血の気が引いていくのが分かる。
さっきまで死ぬほど酔っていたはずなのに、頭痛もどこかに消えてしまった。


……ああ、そういうことなのか。

忙しいのは仕事のせいじゃなくて。
遊べないのは忙しいからでもなくて。





「マスター、裏口ってない?」

彩華は、急いで店を後にした。
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