それでもボクはキミを想う
キミと初めて会おてから、だいぶん日が過ぎていた。
あれから運良く響くんと会えたから、確実にもう一度キミには会うチャンスがあるんやけど…
キミのことは、忘れてしまうんやなくて、日に日に会いたい思いが募っていく…
山に走りに行く度に、“今日は来とるかな?”
とキミを探しとる。
そんな気持ちを周りの人には気付かれん様に隠しとる。
そして響くんと待ち合わせの前にチームの集まりに顔だした。
『おーい一ノ瀬~、こっちこいや。』
『あっ、慎吾くん。何?』
『だから慎吾くんやのぉて、リーダーやろ!
お前、今度の大会終わったら単独だけやなくて、ツインドリの方も出てみんか?
コンビ組めそうな奴探しとけよ!』
『ツインドリですか?
できたら一人の方がええねんけど…
まぁ、探しときます。』
『それとお前、今月末の日曜のセントラルであるイベントの大会に、No.11が出るから、サポートがNo.12とうちのチームに回ってきたんや。
俺と万優里 は必ず行かなあかんねんけど、後、誰にしよかまだ決めてへん。
お前もこいや。』
『No.11ですか…
遠慮しときますわ。
ボク、あのリーダーの斉藤さんに会おたら“バトルせぇ~!!”言われてエボ(ランサーエボリューション)で追っかけられるん嫌ですわ。』
『あー、ドリフトのお前がゼロヨンバトルして、晃(あきら)と和臣(かずおみ)のあの二人が相手にならんほどの実力もっとんには、俺も正直ビックリしたわ。
だからお前相手やったら斉藤も楽しいやろなぁ?』
『そら、勝負挑まれたから、ゼロヨン用にチューンしたからや。
セフィーロ馬鹿にしたらあかんよ(笑)
でも、あれから斉藤さんに会おたら毎回追っかけられる羽目になって、ボクはちっとも面白ぉないですわ…』
『お前、整備士やし、どんなジャンルにも自分の車を改造する対応できてエエのォ。
まぁ、逃げられる前に、お前の耳に入れとくわな?
今な、やっとNo.3の新しいリーダーを決めよんや。
お前の名前上がっとる。
まぁ、その内またお披露目せなあかんから、練習しとけよ。』
『ボク…余計に遠慮しますわ…
あっ、せや!!
龍ヶ崎さんがええやないですか!!
あの人やったら人脈もありそうやし!』
『ボケぇ!!リーダーの命令やから辞退はアカンぞ!!
龍ヶ崎はサーキット専門のNo.6のリーダーに決まったんや。
こないだみたいにサポート車三台連れてきて駐車場を陣取って青空整備工場にするわ、しかも走る時は警備員配置してそこらじゅう封鎖しまくって貸切状態にして、またフェラーリで山走られたら困るやろ!!』
『はぁ…』
あの光景、思い出しても笑ろてしまう。
龍ヶ崎さん、市民の山をむちゃしはったわ…
さすが金持ちのしはることは解らへん…
そしてボクは慎吾くんにサポートの件を渋々了解した。