それでもボクはキミを想う
教習所に着くと、確認してから学科の教室に移動し、真ん中の左端に座った。
そして授業開始まで少し時間があり、何とも言えない感情をもちつつ、なぜか持ってきてしまたった響に借りた雑誌をパラパラめくって見ていた。
“ふーん…
あっ、響も載ってる!でも小さい(笑)”
ドリコンの事が書いてあるページを見て、大きく華々しく載ってる貴方とは違い、響はかなりちっちゃいけど掲載されているのを見つけて、赤ペンでまぁるく囲っておいた。
そして何だかんだ思いながら、貴方の記事が書いてあるページを順番に隅々まで読んでいった。
その時のドリフトコンテストは練習走行の途中から雨が降ってきてかなり大波乱状態だったらしい。
優勝候補や予選上位者達が相次いで滑りすぎて壁に激突したり、スピンして他車と衝突したりと、自走出来ない状態の車も数台出た。
貴方もその一人で、練習走行の時に珍しく滑ってそのまま思いっきり助手席側から突っ込み、ぐちゃりといった。
自走もままならない中、皆誰もが本番棄権すると思う中に、貴方は、本番ギリギリ間際に応急処置完了し、参加した。
天候に合わせてセッティングするのが当たり前の中、貴方は時間もなく、あえて元のセッティングで参加してのコンディションは最悪での参加だった。
車の左側をぶつけたので、フロントバンパーの左側、オーバーフェンダーも少し食い込んだが、ギリギリ足周りに影響なかったのが幸いだった。
その為に、フロントバンパーと左側のフロントとリヤのオーバーフェンダーを外し、助手席、左後部席のドアも見事に痛々しい凹み傷がついており、アンバランスな車体で、優勝処か上位入賞すら予想外だった。
そんな中の優勝で、誌面は騒がれていた。
“一ノ瀬さん…やっぱり凄い!”
私は貴方といる世界が違い過ぎた感覚だった。