それでもボクはキミを想う
夜の高速道路を走り抜けて一時間位でボクのショップに着いた。
ショップから灯りが漏れとったから嫌な予感を感じながらガレージのシャッターを開けたら、案の定オヤジが自分の車いじっとった…あー、タイミング悪っ!!
『おー、ちょっと借りとぉぞ。なんや、これ(セフィーロ)置いて何処にいっとんや思うたら、それに乗っとったんか?』
オヤジはちらっとこっちを見たらハコスカのエンジンルームいじりながらボクに話かけてきた。
『車変えに来ただけや。今からまた出ていくし』
『明日はここ休みやろ?一日借りてええか?…ん?』
『ええで。
ボクも明日は久々にどっかいくしな。』
そそくさとボクは車を入れ変えて、ここから立ち去ろとしとったら、やっぱりオヤジにバレてもた…
『…!!仁、助手席に乗っとるの誰や?』
『しぃーっ!寝とるから静かにしてな!!』
ボクは人差し指を口元に当て、騒がしいオヤジを静かにさせた。
『女の子から来るんはあったけど、お前が女の子連れて来るんは、初めてやな?
珍しいこともあるもんや。
どれ、わしにも紹介せぇ』
とボクを押しのけ助手席を覗いて来た。
そんなことも知らんとスースーと可愛え寝顔をキミは無防備に見せとる。思わずボクもオヤジと暫くキミの寝顔を見て幸せ気分にひたっとった。