どうしてほしいの、この僕に
ゆっくりと開くドアの向こうは、まぶしいくらい光があふれる空間だった。一瞬目を細めて、それから部屋の内部に視線を向ける。
「……え?」
「めったに何かをほしいとは言わない息子が、珍しくあれをほしいと言ってきて、実は出版社に問い合わせて特別に取り寄せたんです。店内に展示したものは端が破れてしまってね」
白い壁にぽつんと一枚だけポスターが貼ってある。
私は茫然とそのポスターを見つめた。
悩みなどなさそうな顔で笑う少女のアップの周りに記事の見出しが躍る。雑誌販促用に作られたそのポスターは主に書店に掲示されるものだ。
画鋲で壁に貼り付けられた紙は全体的に少し黄ばみ、インクも褪色している。だが、見間違いようもない。
「……わた……し!?」
「そう、あなたがはじめて雑誌の表紙を飾ったときのものです」
無邪気に笑う私が、そこにいた。
「……え?」
「めったに何かをほしいとは言わない息子が、珍しくあれをほしいと言ってきて、実は出版社に問い合わせて特別に取り寄せたんです。店内に展示したものは端が破れてしまってね」
白い壁にぽつんと一枚だけポスターが貼ってある。
私は茫然とそのポスターを見つめた。
悩みなどなさそうな顔で笑う少女のアップの周りに記事の見出しが躍る。雑誌販促用に作られたそのポスターは主に書店に掲示されるものだ。
画鋲で壁に貼り付けられた紙は全体的に少し黄ばみ、インクも褪色している。だが、見間違いようもない。
「……わた……し!?」
「そう、あなたがはじめて雑誌の表紙を飾ったときのものです」
無邪気に笑う私が、そこにいた。