どうしてほしいの、この僕に
 優輝は私の姿を見てクスッと笑った。
 とっさに何か企んでいるのではないか、と勘ぐる。品名はルームウェア、イコール部屋着だけど、つまりはパジャマなわけで、通販で買うというと、ほら、エロい……もといセクシーなヤツとか……ね。
 いやいやいや、無理だから。そんなの着て眠れないし風邪ひくから。その前に恥ずかしくて着られないから。というか自分で言うのも寂しいけどセクシーとか似合わないから。
 しかし、私の予想は見事に外れる。
 箱を開けると、中にはパステル調のかわいらしい袋が詰まっていた。
 なぜか急激にテンションが上がっていく。
 私も一応かわいいもの好きの乙女だったみたい、と妙な感慨にふけりつつ、袋を取り出した。箱自体大きかったし、袋もビッグサイズ。持ち上げた感じ、ずっしりと衣類がたくさん入っている予感がする。
 まさかセクシーランジェリー福袋とかじゃないでしょうね!? ——にしてはラッピングが妙にセンスがよくおしゃれな感じなのよね。
 袋を開け、おそるおそる覗き込む。
 こ、これは——!!
「ふわふわ、もこもこーーー! なにこれ、かわいい!!」
 まず手に取ったのは手触りのよいふわもこパーカーだ。それと同じ柄のショートパンツとレッグウォーマー、おまけに同じ素材のヘアバンドまで揃っている。
 それからカップ付きのキャミソールとレギンス、袖がフリルになっているプルオーバーが袋から出てきた。
 ええもう、これだけあれば、組み合わせ次第でいろんなバリエーションが楽しめますよ——って私はどこぞのショップの店員か!
「どう? 気に入った?」
 優輝がニヤニヤしながら私の様子を見物していた。
 えっと、あの、私、今、どんな顔しているのかわからないけど……。
「う、嬉しい、です」
 うわー、言ったら顔が熱くなってきた。私は物で釣られたりしないが、プレゼントはやっぱり嬉しい。しかもこんなかわいいルームウェア、きっと自分では買わないと思うから。
「こんなにたくさん、ありがとうございます」
 改めて優輝に向き直って軽く頭を下げた。
「プレゼントって下心のかたまりだな」
「は!?」
 優輝は笑顔のまま目を細めた。
「何を考えた?」
「いや、だって下心なんて言うから」
「未莉が想像したような下心がないとは言わないけど」
「ほら!」
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