Color of Love
5
―――土曜日
朱莉のお母さんに頼まれ、
俺は朱莉以外誰もいない田嶋家へと踏み込む。
――――――――…
『朱莉の看病してくれないかな?』
2日前の朝に言われたその一言に俺は素直にうなずいた。
今週の土曜は休みだし、お見舞いくらいは行こうと思っていた。
でも看病まで…?
「実は今週の土曜にパパと温泉旅行に行くの…」
「は…?」
「宿も予約してキャンセルしたら勿体無いでしょ…?」
―――――――…
朱莉…お前はお父さんとお金に負けたぞ…
朱莉のお母さんは、俺が看病しに来てくれることは朱莉と…お父さんには言わなかったらしい。
……。
俺…そんなに顔に出てたか?
朱莉が好きだってこと。
そうじゃなきゃ、朱莉のお父さんに言わないだろう。
当の朱莉は気づいてないけどな。
でも…いいのか?
両親がいない好きな女の家で二人きりだぞ…?
『本当にいいんですか?』
俺はそれが訊けずに今日まで過ごした。