魔女の瞳Ⅲ
第一章
「四門、また明日なーっ!」

御影市のボーリング場前。

クラスメイト達が手を振る。

私は苦笑いしながら手を振り返した。

…まさか5ゲームもやらされるとは思わなかった。

戦闘以外で『強化』の魔術を使ったのは久し振りだ。

だって2ゲーム以降は、もう腕がつりそうだったから。

「魔術使った反則差し引いても、メグ、ボーリング上手いな」

隣に立っていた修内太が言う。

「ん…まーね、運動神経はいい方だと自負してるけど?」

私は軽く微笑んだ。

夕方とはいえ、もうすっかり日も暮れている。

私達は家路を急いだ。




11月。

秋なんてとうに過去の事になってしまっていた。

夏の終わりにこの御影市にやってきた私は、この二ヶ月ほどでクラスメイト達に溶け込んでいた。

驚くべき事態だ。

この数百年で初の事態といってもいい。



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