魔女の瞳Ⅲ
何の前触れもなく、エクソシストと遭遇。

しかし私は、然程動揺していなかった。

…彼ら教会側の人間は、魔術や異端者の存在が一般人の目に触れる事を極端に嫌う。

それがこんな街中で接触してきたという事は、この場で仕掛けてくる気はないという事だ。

「できればリベンジは日を改めてもらいたいのよ。今日は疲れてるから」

「クラスメイト達に振り回されていたようだな。実に変わった魔女だ」

手にした緑茶の缶をあおるクリス。

金髪で緑茶を口にするというのもかなり変わっていると思うが。

「何の用よ。仲良くお話しましょうって間柄じゃない筈よ?」

あからさまに嫌悪感を示す私に対し。

「今日はお前に協力を求めに来たのだ…不本意だが、これも司教の指示でな」

クリスは意外な台詞を口にした。

…どういう心境の変化だろう。

異端者は例外なく殲滅対象としていたエクソシスト。

中でもクリスは、過去に私に屈辱的な敗北を喫した事もあり、私を殲滅する事に執念を燃やしていたというのに。

「不本意だと言っただろう…お前のような忌々しい存在の手も借りねばならないほど、事態は逼迫しているのだ」

そう言ってクリスはもう一度緑茶をあおった。

< 13 / 85 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop