魔女の瞳Ⅲ
「魔物だけではない。先頃には人間の第六感…いわゆる超能力を人為的に引き出して軍事利用しようとする『機関』と呼ばれる集団まで、この街に出没したらしい」

「……」

それは私も知っている。

まぁ専門外だから深くは首を突っ込まなかったけれど。

「それと桃香姫に、何か関係が?」

「……」

コトリと。

クリスはベンチに缶を置いた。

「非業の死を遂げた桃香姫は、様々な感情を抱いたままこの世を去った…恐怖、憎悪、悲哀、後悔、怨恨…そういった負の感情を抱いたままの魂がどうなるかは、お前も知っているだろう?」

…大抵はこの世に未練を残し、悪霊、怨霊の類になる。

「まさか」

「そう、そのまさかだ」

クリスは続けた。

「桃香姫は既に桃香に非ず…百禍(ももか)という強力な悪霊となって御影城跡に残り、強い怨念を発しながら今も存在している。その怨念が、この街に魔物や悪意を持った人間を引き寄せているのだ」

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