魔女の瞳Ⅲ
これまで私と学校生活を共にしてきた『前の学校のクラスメイト達』の中の私の印象は、『とっつきにくい』、『無口』、『目立たない』といったものに違いない。

わざとそういう自分を演じてきたからだ。

私は人間が嫌いだ。

人間の本性は悪だと思っているし、私が魔女である以上、人間と深く関わっていくのは何かと都合が悪いと考えている。

だから過去何百回と繰り返してきた学生生活の中で、『クラスに溶け込む』という行為をした事がなかったのだ。

「もうすぐクリスマスが近いから、今度はみんなでクリスマスパーティーしようって言ってたぜ」

両手をズボンのポケットに突っ込んで、歩きながら修内太が言った。

「勘弁してよね、もう」

私はまたも苦笑い。

魔道の探求をする魔女たる私に、イエス・キリストの生誕を祝えというのだろうか。

そんな信心深い魔女なんて聞いた事がない。

でも。

単純にクラスメイト達は、皆で騒ぎたいのだ。

理由はどうあれ、楽しい時間を共有したい。

その時間の中に、私も招き入れてくれる。

その事は素直に嬉しかった。




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