魔女の瞳Ⅲ
確かに、百禍の怨念によって多くの魔物がこの御影市に集まるようになるだろう。

しかし、その魔物が狙うのは人間だ。

中には私の呪眼を狙う奴もいるかもしれないが、私は自分の身くらい自分で守れる。

魔物が人間を餌にするのなんて、私の知った事じゃない。

…心の中でそう言い聞かせてみたものの、何か濁った物が心の奥底に沈殿していくような不快感を覚える。

本当にいいの?

怨念によって呼び寄せられた魔物は、私の学校のクラスメイトを襲うかもしれない。

カラオケに誘ってくれたあの子を、ボーリングで競い合った彼を、買い物に付き合った彼女を、食料とするのかもしれない。

そしていずれは、修内太さえもその餌食にするかもしれない。

いいの?

本当にいいの?

何度も何度も己の中で自問自答し。

「…長老」

私はソファから立ち上がった。

「悪いけど今から、桜花のとこに飛んでくれない?百禍殲滅の助っ人を頼むわ」

「…ホホホ」

長老は何か言いたげに笑った。

「やはりお前…『メグ・デッドゲイト』から『四門メグ』になりつつあるのぅ」

「うるさいっ」

私は長老をピシャリと一喝した。

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