魔女の瞳Ⅲ
「で」

飛び立つ前に、長老は私の顔をもう一度見る。

「助っ人を頼むのは桜花だけでいいのかの?」

「…どういう意味?」

私も長老の顔を見た。

「修内太じゃよ。あの小僧には手助けを頼まなくてもいいのか?」

「……」

私は少し俯いた。

そう。

本来ならば、一番身近にいる修内太にも助っ人を頼むべきだろう。

ホムンクルス、竜、クリス、ガーラ。

強敵との戦いの時には、いつでも彼がそばにいてくれた。

私もアイツも、お互いを『相棒』だと認めている。

でも。

「いえ、彼には知らせなくていいわ」

私は言った。

…そろそろ、潮時なのかもしれない。

彼は人間だ。

止むを得ず呪眼を移植したものの、本来彼は『こちら側の世界』に関わるべきではなかった人間。

そして今回の戦いは、今まで以上に危険な戦いになるような気がする。

これは魔女としての直感だ。

そんな戦いに、修内太を巻き込みたくはなかった。

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