魔女の瞳Ⅲ
さて、顔合わせが終わり、私は二人を応接間へと通す。

「事情は長老から聞いていると思うけど」

私はソファに座った桜花の肩にとまっている長老を見た。

長老も桜花に会うのは本当に久し振り。

桜花も小さな頃から長老とは仲が良かったので、お互い何だか少し嬉しそうだ。

「相手は御影城城跡に棲みついている悪霊、百禍…数百年物の悪霊よ。かなり手ごわいと見ていいわ。更には周防時貞とかいう武士の地縛霊も百禍のそばにいる…百禍を倒すには、コイツも相手しなきゃならないわね」

私の言葉に、桜花が真剣に頷いた。

…私と桜花は魔女だ。

相手が霊体でも魔術で対抗できる。

しかし。

「ジルコーは人狼でしょ?実体のない相手に有効な攻撃は出来るの?」

「馬鹿にされたもんだな」

私の言葉に、ジルコーは苦笑いした。

「俺だって魔道の世界を渡り歩いてきた魔物だ…魂魄破壊(ソウルブレイク)くらいは会得してらぁ」

魂魄破壊とは、文字通り肉体を持たない霊魂を破壊する技術。

魔力を通した攻撃などがそれに当たる。

「へぇ…爪や牙の攻撃だけかと思ったら、意外と器用なんですね」

パートナーの桜花までもが、驚いた表情で言った。




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