魔女の瞳Ⅲ
久し振りに賑やかな夕食。

ジルコーの食べっぷりときたら、見ているこちらまで気持ちよくなるほどのものだった。

彼とは迂闊に外食なんてできないな、なんて思ったり。

「ごめんなさい、ジルコーったら遠慮もしないで…」

身を縮こまらせて桜花が謝る。

こういう周囲に極端に気を遣う所は相変わらずだ。

「だから構わないってば。私が無理言って来てもらってるんだから。こんな食事くらいでよければいつでも」

「……」

私の言葉を聞いて、桜花は表情を曇らせる。

「大丈夫でしょうか…御影市に魔物を呼び寄せるほどの強い怨念を持つ悪霊相手に、私みたいな助っ人だけで…」

「あら、桜花だから呼んだのよ?」

私は食卓に頬杖をつく。

彼女は自分で思っているほど落ちこぼれの魔女ではない。

私は彼女を紹介する時は、『メグ・デッドゲイトを一回りコンパクトにした魔女』と説明する事にしている。

呪眼、再生の魔術、禁呪など、私に比べれば桜花は出来ない事も多い。

反面、行使できる魔術は私とほぼ同レベルだ。

彼女の得意とする氷の魔術は、もしかしたら私を上回るのではないかとさえ思っている。

私は本心から、桜花なら私を十分にバックアップしてくれると考えていた。

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