魔女の瞳Ⅲ
そして翌日の夜。

私、桜花、ジルコーの三人は御影城跡のある山へと向かった。

時間は既に午前一時。

街はすっかり眠りにつき、草木さえもその息吹を殺しているかのように感じられる。

「よく来たな、四門メグ」

山道へと続く入り口。

黒衣をまとった集団の中央に、クリスの姿があった。

「己の保身しか考えない異端者どもが、まさか本当に来るとは思っていなかったのでな…流石に驚きを禁じえないよ」

皮肉めいた口調で呟くクリス。

「よぉ四門、この癇に障る聖水くせぇ野郎が依頼者か?」

威嚇的な視線をクリスに送りながら、ジルコーが言った。

「駄目ですよジルコー、今は彼も味方なんです」

桜花が必死でジルコーを制した。

「クリス、あんた私達に喧嘩を売るつもりなの?」

私もクリスをキッと見据える。

「…そうだったな。職業柄つい…な。すまなかった、気を悪くしないでくれ」

そう言ってクリスは眼鏡を指先で押し上げた。

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