魔女の瞳Ⅲ
巨大な攻城刀を地面に叩きつけ、その破壊力で凍土の魔術を相殺する。

力技にも程がある。

でもその力技も、ここまで来ると有無を言わせないだけの迫力があった。

「私はともかく…メグさんの凍土の魔術を一振りで相殺するなんて…」

桜花が声を震わせる。

…技術も何もあったものじゃない。

チェスで言うなら戦術を駆使して勝負を挑もうとした私達を、時貞はチェスの盤ごとひっくり返したという感じだろうか。

とにかくパワーだけで、こちらの攻撃を全て無効にしてしまう。

「…ふぅうぅぅ…」

大きく息を吐き、時貞は巨大な刀剣を肩に担いだ。

…向こうからは攻めてこない。

ただその場に立っているだけだ。

当然だろう。

彼の役目は『私達の足止め』なのだ。

殲滅ではない。

百禍を脅かす全ての敵を追い払う事。

倒せずとも、百禍に近づけさせなければそれでいいのだ。

「どうするメグ…並みの魔術じゃ歯が立たないぜ?」

修内太が言う。

確かに。

想像以上に時貞は厄介な相手だった。

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